第14章 刈真の過去
すると、ベットの上には
刈真が座って窓の外を眺めていた。
電気はついていないため、
僅かにこの部屋を照らしているのは月の光だけだ。
いや、それと共に、
刈真の銀色の瞳も輝いていた。
沙「よく寝れた?」
ボーッとしている刈真に、
私は笑顔で問いかける。
その間に、ベット近くのテーブルに
桃色のトレイと紅茶の入ったカップを置いた。
刈真は何も答えず、
月をじっと見つめている。
私はそんな彼をみながら、
そっと側にあった椅子に腰を下ろした。
沈黙が月明かりの下のふたりを繋いでいる。
少し照れくさいような、焦れったいような。
沙「…お姉さん…いたね。」
刈「…。」
刈真は何も答えない。
沙「…ねぇ、刈真君。」
刈「…来て。」
沙「!っえ…?」
刈真は、驚く私の手をギュッと掴んだ。
沙「…刈真君…」
刈「…来て…。」
私は、言うとおり彼の隣へ腰をおろした。