第14章 刈真の過去
雫と翠を玄関まで見送り、
ふたりが角を曲がったところで
私は家へ戻った。
部屋には、刈真が寝ている。
本当は刈真の家へちゃんと
送ろうと思っていたのだが、あまりにも
落ち着いて寝ているので、
「今日は泊めてやってください。
明日、私が迎えにきます。」
と雫に言われ、泊めることになったのだ。
私は何か食事を作らなければと、
キッチンにいって冷蔵庫を覗く。
卵があったので簡単に雑炊をつくろう…
少し重い瞼を擦り、
睡魔に負けぬよう急いで作った。
桃色のトレイにお皿をのせ、
刈真のいる部屋へと階段を上がる。
自分の部屋だが、
一応人がいるし、ノックはしといたほうがいいだろう。
コンコンッ
沙「…刈真君?入るよ…?」
何の返事も無いが、
まあ寝てるだけかもしれない。
私はせっせとドアを開け、
中へ慎重に入っていった。