第14章 刈真の過去
自分を痛めつけるほど
彼は努力をし続けた。
死に物狂いで努力し続けた。
そして、
発達障害である彼は奇跡を生んだ。
彼は、周りの人よりも
もっと尊く、もっと賢い人物になった。
言葉も全て喋れるようになり、
漢字も書けるようになり、
字も上手くなり、
何もかもが人よりも優れるようになった。
その変化に、
雫と父親は驚きを隠せない。
ただ、刈真には一人だけ越えられない存在がいる。
姉である 雫 だ。
「刈真っ!!凄いじゃないっ!!!」
雫は刈真に呼びかける。
だが、刈真は不快な表情をして彼女を拒む。
「僕はまた姉さんと比べられる。
姉さんを超えなきゃ、
母さんは認めてくれない。
そんなの嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ…っ
お前なんか…姉じゃないっっ!!!!!!!!」
雫は、
刈真の言葉に傷ついてしまう。
けれど、こんなものよりももっと
酷く残酷な言葉で刈真は傷つけられたのだ。
これは酬いなのだろう。
それから、刈真と雫の関係は崩れていった。
これが、刈真のものがたり。