• テキストサイズ

「 水色の革命 」

第14章 刈真の過去



刈真が家に戻ってから、
とてつもない変化が起きた。


刈真が、自分で勉強をしているのだ。


わからない言葉の方が多いのに。
わからない字の方が多いのに。
わからない知識の方が多いのに。


絶対に刈真の頭脳では理解できないことを
自力で無理やり理解しようとしたのだ。


ずっとずっと。


夜は眠りもせず、夢中で机にひっついていた。
はなそうとしても決して離さない。
声を掛けても、


「いい子になるからいい子になるから…」


の繰り返しを気味の悪い程つぶやいてくるだけ。

雫は、そんな刈真を見て、
可哀想だと父親に相談した。

すると、父親は言う。



「刈真はお前と同じように愛されたかったんだよ」




雫はいつもいつも母親に愛されていた。
それを刈真はいつもいつも指を咥えて見ていた。

どんなに辛かったか。
どんなに苦しかったか。

全ての憎しみや妬みも祓うように、
刈真は分かりもしない辞書を引き、
漢字を読み、書き、問題を解き、
必死で努力したのだ。

必死で






 母 に認めてもらおうとしたのだ。













「ママ…ママ…」


刈真は、母親・愛

という漢字をノートに書き、涙を流していた。





/ 586ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp