第14章 刈真の過去
数日後。
刈真の体調も回復し、
やっと病院を退院できることになった。
雫は喜びに涙ぐみ、
父親はこの時初めて病院へ駆けつけた。
ふたりは病室へ一直線に顔をだす。
ベットに座っていた刈真は、
その怪しく輝く銀色の瞳で、窓の外を眺めていた。
父親は「刈真」という。
刈真は声に振り向いて、
父親と雫であることを確認すると、
安心したようににっこりと笑った。
病院をでて、車に乗りながら、
三人はくだらない世間話で盛り上がる。
刈真の元気そうな顔を見て、
雫達も安心したようだった。
だが、刈真はまだ忘れられないらしい。
「ね…ぇっ。」
「ママっ…まだっ帰んないの?」
「「!!!」」
その言葉に、ふたりは胸を突かれた思いをする。
刈真は彼女のことをまだ気にかけていたのだ。
それはそうだろう。
彼女が、彼をこんなことにしたのだから。