第14章 刈真の過去
「っ…はっ…はっ…刈真っ」
雫は、乱れていた呼吸を精一杯整え、
刈真の方へ目を向ける。
その瞬間、刈真の肩が震え、
頭を抱え始めた。
どうしたのかと触れようとすると、
さらに体を震わせ、おびえているようだった。
「…?刈真…?ど――――――――
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!」
「っ!!?」
「ごめんなさいっごめんなさいっ…ごめんなさいっ!」
雫は、この時にわかったのだ。
刈真は、ずっと、
生まれた頃から後悔していたのだ。
優しく彼の手を掴み、
そっと、頭を撫でる。
「刈真。大丈夫だよ…。」
「っ!ごめんなさいっごめんなさいっっ!!」
「刈真。」
「やだっ嫌だよっっ!!」
「刈真。」
「やだぁああっ!!!!!!!!!!!」
刈真は、大声を出して泣いた。
自分が苦しんできたものを。全てを。
何かにのせて吐き出すように、
大粒の涙を何度も何度も流した。
雫は、そんな彼の手を、
まだずっとつかみ続けていた。