第14章 刈真の過去
「ごめんね…刈真…。」
雫は刈真の手に額をあて、
ホロホロと大粒の涙を流し出す。
刈真は、それを見ていることしかできなかった。
「私がいるせいで…刈真は
お母さんに…っあんな酷いことを…っ!」
その言葉に、刈真の中で何かが切れた。
「そうだ。お前のせいだ。」
「…っ?」
刈真は、動かなかった体を無意識に動かし、
手は雫の首へ伸びていた。
「っ!!?」
「お前がいたから、僕はのけものにされた。」
手は序々に雫の首を絞めていく。
「あ…がっ…やめでっ!!刈真っ!!」
「お前なんて姉じゃない。
比べられるほど僕は悪い子じゃない。」
「うっぐぅ…っ!!」
「僕は悪い子じゃない。
いい子になれば、ママは僕を見てくれる。」
刈真の頬には、
いつの間にか一筋の涙が流れていた。
「ママが…撫でてくれる。
ママが…愛してくれる。
僕は いい子になってやるっ。」
雫は、その時刈真の瞳の中の覚悟をみた。
その次の瞬間。
彼女の首から刈真の手が離される。