第14章 刈真の過去
次に目が覚めたときは
病院の天井を見つめていた。
隣を見ると、
姉であろう少女が泣いていた。
刈真が口を開き、「あ…」と言うと、
少女は顔をあげ、叫んだ。
「刈真っ!!大丈夫っっ!!!?雫よっ!!」
雫は刈真の手を握ってくれた。
だが、何故か彼は触られた感覚を感じない。
むしろ、起き上がろうとしても、体が動かないのだ。
「…ママ…はぁ…?」
刈真は、弱々しい声で問いかける。
雫は、その質問に顔を伏せ、黙り込んでしまった。
「お母さんは…捕まった…」
「…?」
「おまわりさんに、連れて行かれちゃったの。」
「おまわりさんにぃ…?」
「うん…。」
雫は顔をあげ、刈真を見つめる。
「…僕、いなくなれなかったから
ママ、おまわりさんと一緒に離れちゃったの?」
「ううん。違うの。」
「あなたをいなくならせようとしたから、
おまわりさんに連れて行かれちゃったの。」
刈真は、雫の説明がよくわからなかった。
雫は、泣きそうな顔で声をだす。