• テキストサイズ

「 水色の革命 」

第14章 刈真の過去




それからしばらく。
次第に彼女は、
頭の優れている雫と
頭の衰えている刈真を、比べるようになった。

その度に彼女は刈真を叱り、
彼の目の前では雫のことをとても甘やかした。
刈真はこのときに


自分は母親に愛されてなどいなかったのだ


ということに気づいた。

その瞬間。彼の心は暗闇に包まれる。
同時に、隙間風のような寂しさが心を通るようだった。

刈真はそれでも
まだ母親はきっと愛してくれる と、
毎日毎日話しかけた。

勉強も自主的に学習し、
少しだけだが、ひらがなをかけるようにもなった。






「雫の時よりもずっと覚えるのが遅いのね。」




練習の成果を見せたときの彼女の反応は
雫と比べただけの嫌味だった。



「本当あんたは何やってもダメねっ!!!??」

「どうしてこんなこともできないのぉっ!?」

「悪い子は大っ嫌い!!」





「雫は本当にいい子ね。」

「明日お父さんと三人で映画でも見に行きましょうか。」

「あの子とは大違いね。」





日に日に、刈真と雫に対する感情は異なっていく。





/ 586ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp