第14章 刈真の過去
青々とした緑が生い茂り、
人々が暮らしやすい環境になる
工業進歩を進める都市。
その都市のなかで、
ひとりの元気な男の子が産まれた。
名前は 刈真 。
その子を産んだ母親は
嬉しすぎて、頬を転がり落ちるほどの
大量の涙をとどめなく流し、喜んだ。
その子の姉である 雫 も、
弟ができた喜びに心から浸っていた。
だが、彼の異変に気づいたのは、
刈真が三歳の時だった。
刈真は、人よりも
知能が成長するのが遅かったのだ。
三歳になった今でも
刈真は自分の足で立つことが出来ず、
ずっと四つん這いの体勢のまま。
それに、言葉や人を覚えるのも苦手であった。
母親は、そんな刈真を心配し、
病院に連れていくことにした。
「…これは… 発達障害 ですね…。」
「発達障害!?」
医師から言われた病名を知った時、
彼女には針を飲むように呵責な悲しみを与えた。
まさか愛してやまない我が子が
病に犯されていたなんて、思いもよらなかっただろう。
それと同時に、彼女の感情には
心を引き裂くような後悔の念が刻まれていた。