第14章 刈真の過去
刈真は興奮している…
今すぐにでも止めなければ…っ
私はそう思い、グッと彼の袖を掴んだ。
すると一瞬、刈真の体は小さく痙攣する。
荒い息のまま、私の顔を見ると、
驚いたように目を丸くしていた。
沙「刈真君っ!どうしたのっ!!?」
私の声に、刈真の体はビクっと跳ねる。
やがて、頭を抱えてまた何か言い始めてしまった。
刈「ダメでしょ刈真。友達傷つけちゃっ…
ダメでしょダメでしょダメダメダメだダメダメダメ
そんな悪い子はお仕置きしなくちゃ
悪い子悪い子悪い子悪い子悪い悪い悪い悪い悪い…
そんな子嫌いっ嫌いだよっ嫌い嫌いっ
刈真っ謝りなさいっごめんなさいごめんなさいっ
本当に何やってもダメな子ねっごめんなさいっっ」
沙「っ!!!???」
私は一瞬恐怖に溺れそうになった。
刈真は何を言っているんだ…?
その言葉は全く耳には入ってこなかった。
雫「刈真っ!大丈夫っ!!大丈夫だよ!!
ここに皆いるよ!!大丈夫!大丈夫だよ!!」
雫が大声で刈真に呼びかけ始めた。
刈真はふっと顔をあげる。
その目には光など宿っていなく、
心なしか少し赤くなっている気がした。