第14章 刈真の過去
翠「いや~こんな綺麗なお姉さんが
いるなら刈真君も言ってくれればいいのに。」
私達は刈真を持ち上げる。
雫も、おしとやかにフフっと笑っていた。
沙「本当そうですよ!刈真君っ!!」
沙「…刈真君?」
刈真が、いつになっても何も言わないのだ。
ずっと下を向いている。最初は
単に恥ずかしがっているだけだと思ったが、
全然違う気がしてきた。
翠や雫も、心配そうに刈真を見つめる。
私も不安になって、少し刈真の顔を覗き込んだ。
すると、私は驚く。
刈真がもの凄く汗をかいていた。
だんだん息も荒くなっている。
私はどうしたのかわからなくなり、
必死に刈真に呼びかけた。
沙「!?どうしたの刈真君…っ!!??」
刈真は「はぁっはぁっ」と
苦しそうに息を荒げたまま、何も喋らない。
やがて、独り言のようにブツブツと呟き始めた。
刈「違う…っ違うっ違う違う違う違う違う違う違う…
違う違う違うっ…っっ
僕に姉なんていないっいないっいない
ないいない…」
沙「!!?」
私は唖然とする。
いつも冷静な彼とは全然違っていたのだ。
雫「…っ刈真っ!」
刈「だまれっっ!!!!!!!!!」
雫「!!!」
翠「!!!」
刈真は、怖い顔で雫を睨む。