第14章 刈真の過去
翠がわざとらしくうわ~んと嘆く。
美紀や大河は笑っていたが、優一と刈真の
ふたりは、全く口元も動かなかった。
私はそんな状況を見て苦笑いをする。
優一は、刈真の肩に手を乗せると、
ゆさゆさと面白そうに揺らし始めた。
優「…お前ほっそい体してんのな…」
刈「やめてください如月さん。」
刈真は無表情のまま言った。
優一はそれをさらに面白がって、
今度は手をブラーンと持ち上げ始める。
翠「あっそういえば刈真君って肌白いよねぇ」
大「あんまり夏とか外行かねぇの?」
刈「いえ、結構いきますよ。」
美「じゃあそういう体質なのかしら?」
沙「結構凄い体質だね…」
私は刈真のブラーンと持ち上げられている手を
みながら呟いた。
優一は口が微笑んでいる。
そんなに刈真君の手を動かすのが面白いんだろうか?
優「…お前柔らかいな。」
刈「あまり運動はしてないですよ。それより
そろそろやめてください。
気持ち悪いですよ。如月さん。」
こんな状況でも、腹を立てずに冷静でいられる
刈真が、私は改めて凄いと思った。
翠「いや、単にもうめんどくさいだけでしょ…(笑)」