第12章 孤独は無限
琴音は目を開ける。
私は、しっかり琴音を見つめた。
そして同時に
「私を見て。」
と琴音に囁いた。
琴音は「うぅっ…」と
顔をしかめ、また涙を流した。
琴「…どうして…ここまで私を助けようとするの?」
刈真も翠も、そっと、琴音を見つめている。
私は、小さく深呼吸をした。
沙「ダメだからだよ。」
琴「・・・。」
沙「琴音さんは、今まで
酷いことをされていたんでしょう?
でも、誰にも相談しなかった。」
琴音は全て知ったように俯く。
沙「相談…というより、気づいて欲しかったんでしょ?
私はこんなめにあっているんだよ。
本当はすごく辛いんだよ。
だけど、誰も助けてくれなかった。」
沙「何かあるなら、ちゃんと自分の口から言って?
じゃなきゃ、あなたの気持ちには誰も気づけない。」
琴「…。」
琴音が刈真の腕から動き出す。
そして、自分で立ち上がった。
瞳は真っ直ぐ私の目を見ている。
琴「あなたにはできたっていうの…?」
私は、ゆっくり下を向いた。
沙「…できなかったよ。」
琴「じゃあなんでそんなこと言えるの…?」
沙「…私は、ずっと側にいてくれる人がいたから、
全てを打ち明けられたの。時々、
私の感情が高ぶって、突き放しちゃった事もあった。
だけど、刈真君はその後もずっといてくれたの。
私の隣に。前に。
だから、琴音さんが全てを打ち明けられるような
そんな支え人になりたいんだ。
友達っていうのかな…?」
琴「っ…。」
彼女は驚いたように目を開ける。
その瞳には、ほんの少し涙が溜まっていた。