第12章 孤独は無限
私は、ゆっくり彼女に近づいた。
そして、琴音の手を包むように優しく触れる。
琴音は、驚いたようだが、
前のように振りほどこうとはしなかった。
琴音の手は、私の手のなかで静かに温まる。
琴「…あたたかいね。」
彼女は優しく囁いた。
琴「これが…人のぬくもりってやつなのか…。」
私はうんと小さく頷く。
沙「あなたの心にできた深い傷は、
まだまだ治るのには時間がかかるかもしれない。
だから、私達がその手当をお手伝いするよ。
辛かったよね。
苦しかったよね。
もう、大丈夫。 大丈夫。
ここには、あなたを虐める人なんて誰もいない。」
珍しく肌寒い風が木々と私達の間を
優しく通り過ぎるとき、琴音がそっと
「ありがとう。」
と囁いていた。
沙「これからもよろしくね。」
琴「うん。」
翠「なにかあったらスグ言ってよ?」
琴「うん…。」
刈「ずっと、友達なんですから。」
琴「っ…うんっ…うん…っ!」
彼女の人生に、
革命 が起こったのかはまだわからない。
彼女の傷は、そう簡単に治るものじゃないんだ。
それは、私も一番知っている。
だから、その傷を癒した時、
心の底から、幸せだと思えたのなら
それこそが、彼女にとっての
人生の ″革命″ なのだろう
私達四人は、オレンジ色の空に
優しく包まれながら、静かに、
自分達の家へと帰っていった。
琴「ただいま。」
「おかえり。琴音。」
琴「私ね。友達ができたんだよ。」
「え?お友達?他にも沢山いるんでしょう?」
琴「ううん。あの子達はね。
特別 なお友達なんだ。」
琴音は、
微かに口元を緩ませた。