第12章 孤独は無限
きっと、あの時の私なら、
彼女のことに賛成していたかもしれない。
ただ、自分を楽にしたかったんだ。
でも、それは違うんだ。
沙「…でもね。」
琴「…まだ何かいう気…?」
彼女は歪んだ顔を見せる。
まだ、彼女は救われていないんだ。
私が 彼女を救いたいから…。
沙「私も、飛び降りようとそこにたっていたの。」
沙「目を瞑って、なにも見ずに、なにも聞かずに。
『さようなら』っていって、
足を出したの。もう終わるんだと思ったら、
私のことを、とめてくれた人がいたの。
嶋瀬 刈真君。私の隣の席の人だよ。」
琴音は一瞬目線を逸らして、
刈真のことを思い出していた。
沙「その時、刈真君が言ったの。
『それって、正しいことかな。』って。」
琴「…あの銀目の人か…その後に
綺麗事でも並べられたんでしょ?」
沙「違う。」
琴「え?」
沙「彼はね。 その後、
『僕をこの学校に案内して。』って、
話を変えたの。普通、死のうとした人に
そんなこと言えないでしょう?
でも、刈真君はそう言った。
その言葉でね。私は、目を覚ましたの。」
頭の中には、
刈真の顔が映っていた。