第12章 孤独は無限
刈「どうしたの?」
刈真が私の顔をみて訪ねてくる。
私は少し不安になってしまった。
私の言葉で彼女は傷ついたのだ。
申し訳なさと後悔で、喉元まできていた
その言葉が、すぐには出なかった。
ゆっくり息を吸ってから、私はいう。
沙「私ね…彼女に こう…言ったの。
『前の学校で悲しいことにあっていたの?』って。」
一瞬私は下唇をギュッと噛む。
刈真は「ああ…そうか…」と、ゆっくり
椅子の背もたれに寄りかかった。
刈「きっと、それが図星だったんだね。」
沙「そうなの? …あ、そっか…。」
刈「四季さんはそれを言われたから、
気が迷って『同情なんかは…』と言った。」
刈真が一言発すると同時に手を
上下にゆっくりと下げていく。
私はその言葉を彼の手が上下に
下げられるのと同時に頷く。
刈「だから、たぶんその前の学校で何かがあって、
この学校で同じことが起こらないように
自分から皆を拒絶した…。」
沙「そう…か…。」
私は、彼女の気持ちがなんとなくわかる気がした。
悪いことが起こる前に自分から手放す。
それが苦しいものだとは、
まだ彼女は知らないのだろう。
私は「ありがとう」と刈真に目をやると、
にっこりと笑いながら刈真は頷く。
その後の授業は、琴音のことで全然集中できなかった。