第12章 孤独は無限
私はまた喉の奥に何かが
こみ上げてくる感覚に襲われる。
その間に、琴音は早足で私の横を通り過ぎる。
彼女が角を曲がるとき、
私は大きく「まって!」と叫んだ。
琴音は一旦足を止める。
私は気持ちを落ち着かせ、
琴音の方へ体をむいた。
沙「どうして、誰にも関わろうとしないの。」
琴音は止まったままだ。
沙「確かに、少し強引な所もあるけど、
あのクラスの皆はとてもいい人達ばかりだよ。」
琴音は手を握り締めていた。
顔は見えないが、たぶん物凄く不快な顔をしている。
私はそれでも構わずに話し続けた。
沙「ねぇ、あなたが
そんなに皆を拒絶するのって・・・。」
いつの間にか手汗がにじんできた。
変に体が熱くなる。
私は、言っちゃダメだと思いながら声に出してしまった。
沙「前の学校で、悲しいことにあっていたの?」
静かな屋上の中で、その声は
私の心にまでずっと響いた。
琴音はばっと振り返る。
その顔は、苛立ちを隠せずにいた。
琴「同情なんかはよしてよっ!!!!!!!!!!」
琴音は私に向かって叫んだ。
その声は、さっきの言葉なんかかき消すように
私の心のそこまで響いていた。
琴音は一気に走り出し、角を曲がる。
やがて、カンカンっと階段を
下りる音が忙しく鳴り響いていた。
空を見上げる。
沙「良かったのかな…。」
私は流れる雲に向かって囁いた。
「いいんだよ。」
その時、私の耳に彼の言葉が聞こえてきた。
沙「ああ…そっか。」
私は
屋上の塀にもたれかかって
お弁当の包みをあけた。