第12章 孤独は無限
だが私は右足を踏ん張り、
琴音に向かって囁いた。
沙「ここでお昼を食べてたんですか?」
琴音は鋭い目を私から逸らす。
私はそのまま話し続けた。
沙「音楽、好きなんですね。」
私は先程まで彼女が
音楽を聴いていたヘッドフォンを見つめる。
すると、琴音はヒョイっと
かばんの中に戻してしまった。
沙「ここって、落ち着きますよね。
誰もいないし、景色は綺麗だし。
私も、ここで食べるのが好きなんです。」
あまり彼女に強引に迫らぬよう、
優しく話しかける。清楚に、少し遠慮がちに。
琴音はまだ私を警戒してるらしく、
こちらも見てくれないし、何も応えてくれなかった。
(まだ…緊張してるのかな。)
私は少し彼女が心配になってきた。
あんな自己紹介をして、本当はどう思っているのか。
彼女は優しい人だと、私は知っている。
あんな花を優しく触りながら、
綺麗な歌声をだすなんて、優しい人しかしないことだ。
私は、琴音が話しかけてくれるまで、
少しだけ無言になることにした。