第12章 孤独は無限
五十嵐が教卓の前に立つ。
そして、はあ、と溜息をついてから言った。
五「へい。今日はお前らに報告がある。」
私と刈真は顔を見合わせ頷いた。
五「入ってこい。」
五十嵐が一言放つ。
転校生が入ってくるのだ。
私は、どんな人だろうとワクワクしていた。
やがて、上履きの音と共に彼女は現れる。
その姿をみて、私は「わぁ」と声を出してしまった。
少し茶色の髪が、フワっとしたショートヘアで、
窓から入る風に少しだけ揺れている。
全体的に細い体系で、手足が長かった。
目も大きく、クリっとしていて可愛らしい。
少し雰囲気が変わっていたが、たぶんそれは
制服がちがうせいであろう。
(前の学校の制服かな…)
刈「あれは華ノ丘学園のだ。」
沙「え?」
私は刈真の言った言葉に耳を傾ける。
そしてはっとした。
華の丘学園といったら、隣の県内で
一番偏差値と頭がいい女子学校じゃないか。
結構きまりが厳しく、
俗に言う『お嬢様学校』だ。
そんな学校から親の転勤でこの学校に…。
随分大胆な決断をしたもんだなぁ。
私は彼女の制服をみながらふと思っていた。