第11章 初めてのお出かけ
それから数十分がたった後。
私は数分前からまだエイに触っていた。
ヌメっとしたようなツルッとしたような
不思議な感触。それがなんだかとても面白く、
エイから手が離せなくなっていたのだ。
エイを何度もなでるように触っていると、
口元が自然ににやけていくのが分かった。
私はもうエイも可哀想だしやめようと、
水槽から手を離す。それと共に、
小さくお腹が『ぐぅ~~』となった。
沙「あっ。」
自分で驚き、お腹に手を当てる。
すると、近くでエイに触っていた小さな女の子が、
「おねぇちゃんおなか空いてる!!!」
と面白そうに指をさしてきた。
私は恥ずかしくなり、顔が真っ赤になる。
体中に熱を感じるのも遅くはなかった。
沙「~~~っ。」
口に人差し指をそえ、女の子に向かって
「内緒ね。」
と言うと、女の子も口に指をそえて、
「うん!!内緒ないしょ!!私ちゃんと守るよ!」
と元気よく笑った。
その笑顔を見て、私は朗らかな気持ちになった。