第1章 どうしてこうなった
「次はっ…負けねぇからなっ!」
「…うん、頑張って?」
私がそう言うと、悠真くんは顔を赤くしながら
「っ…てめぇ…おちょくってんのか!?」
と叫んできた。
私は、あわてて取り繕う。
「え!?いや、別にそんなこと…というか、腕大丈夫…?」
痛みのせいか、微かに震えている悠真くんの右腕に、そっと触れる。
すると、目を見開いて腕を引っ込めてしまった。
「あ、ご、ごめんっ!痛かった…?」
私が慌てて言うと、悠真くんはそっぽを向きながら
「いや…別に…」
と呟き、そのまま黙り込んでしまった。
や、やっぱり痛かったんじゃ…
そう心配する私を余所に、清正さんは今だに笑いながら悠真くんの肩をバンバン叩く。
清十郎さんはそんな私達を微笑ましく見つめている。
いや…微笑んでないで、悠真くんの腕どうにかしてあげようよ…。