第1章 どうしてこうなった
「ーーーっあ”っ……!!!!」
ガタン、と椅子が倒れる音がした。
私がはっとして辺りを見回す。
するとそこには、悠真くんが、右腕を押さえてうずくまっていた。
両脇には、椅子が倒れているのにも構わず、立ち尽くしている清十郎さんと清政さんが。
…あ?私、やっちゃった…?
先生、すみません。
私、始めて合気道で人をケガさせちゃいました…
「そこまでだ!」
清十郎さんが叫ぶ。
清政さんは、パチパチと拍手をしている。
え?私、悠真くんの腕折ったのに、拍手されてんの?
おかしくない?
「はっはっは!!油断していたな?悠真。眞季、お前いつの間にそんなに強くなったんだ?」
「まったくだ。合気道なんて、少ししか教えていないのにな」
「え!?あ、いや、ははー….」
いやー、幼少期からやっておりまして…
苦笑いしながら、私は置いてあったタオルで汗を拭く。
悠真くんは、痛みを耐えながら立ち上がる。
目にうっすら涙が浮かんでる。
あ…ちょっと可愛いかも…
なーんて不謹慎なことを考えてると、悠真くんが睨みを効かせながら私の方へ向かってきた。