第1章 どうしてこうなった
「あの、私大丈夫だから…始めま…始めない?」
私が言うと、清政さんは驚いた顔をした。
しまった。眞季さんはこんな事言わない人なのかな…?
「良いのか?眞季。こいつの暴言を許すなんて珍しいな」
「え?あ、ま、まぁ…め、夫婦、だから…」
なんか、すごい理由になった気がするけど…
まぁ、いっか。
悠真くんは、舌打ちをすると、私の方に向かってきた。
いやホント、なんで舌打ちされなきゃいけないの??
「同情はいらねーんだよ。祝言挙げたとたんに、妻面か?気持ち悪りぃ」
「っ……!!」
な、なんなの、ホント!!
私だって、好きでやってんじゃないのに!!
ふつふつと怒りが湧き上がってくる。
そんな私を御構い無しに、清十郎さんが試合開始の合図をした。
悠真くんは、大声を上げて、拳を振り上げる。
もう良い。私プッツンしました。
本気だします。
「おらぁっ!!」
悠真くんの拳を、紙一重でよける。
さすがに喧嘩慣れしてるのか、怯まずもう一発、殴ってきた。
その腕を今度は受け止め、あらぬ方向に、曲げた。
ーーゴキッ
嫌な音が、武道場に鈍く響いた。