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Hな女の子は嫌いですか?

第10章 加納



「ね…加納…私、そいつ殴りたい」

前園がふらつきながら、再び夢に近づいて来る。
その言葉の内容と、さっきまでの痛みを思いだし身体が恐怖で震えた。
加納は横目で、前園を見、廊下の気配を誰よりも先に察した。

ガラッと
乱暴に教室の戸が開かれた。

そこには走って来たのか、息切れして立っている白河がいた。

「……………」

無言でその場を睨むように見渡す。
そして加納の姿を見つけると、どこか苛立ちの様な悲しみの様な複雑な表情をした。
そんな白河を見るのを初めての様な気がして、夢もまた加納を見る。
加納もまたどこか哀しみと寂しげな顔をしていた。

その横顔を見て、夢は不思議と加納に対して怖いとは思わなかった事に気づく。


前園は青ざめ、もう一人は血の気が引いた様に白河を見ていた。

「…な…なんで…?」

前園の言葉に白河は、夢の足下に落ちている携帯を指差した。

「…それ…さっきからずっと通話中になってる」

白河の言葉に、前園はすごい形相で夢を睨みつける。
思わずびくついた夢を気にせず、加納は夢の携帯を拾い、電話を切った。

「はい」

加納は夢の手の上に携帯を置き、握らせるようにした。

「……………」

加納のその行動に、ただ呆然と彼女を見上げた。

「全部、聞いた…」

加納は白河の方を向き、前園達はそれぞれ下を向いた。

「春川さんの嫌がらせ全部、あんたらがやったの?」

前園と友人は身体を僅かにびくつかせた。

「わざわざこんな事しないで…俺に直接言えばいいだろ」
「しないわ」

白河の言葉に、加納は直ぐ様否定した。

「…だってこれはただの八つ当たりだから」

「白河君に直接何かしらする勇気がないなら、その子に当たる。全くもって…仕様がない…でしょ?」

自嘲気味に加納は言う。



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