第10章 加納
「…本当だな。いじめとか平気でする奴らなんかに好かれてると思うと吐き気がする…」
白河の言葉に、二人は俯き、加納は真っ直ぐにそれを聞いてた。
「…でしょうね」
「…加納は俺がそういう人間だって、知ってたろ…」
「…ええ。知ってた」
「……それなのにやったの?」
「…………」
ふっと加納はふいに笑う。
「ごめんね…白河君」
白河はただ加納を見ていた。
加納は、泣きそうな笑顔で続けた。
「…私も…あの子達と同じだったみたい…」
「……………」
一度目を瞑り、
白河は前園達を見やる。
「ちゃんと春川さんに謝って」
「………!」
白河の言葉に前園はかっとなり、
「なんで…!」
「なんでっ…!こいつだけそんなっ…特別扱いなの?納得行かない!」
白河は無言で彼女を見る。
「青野ならまだしも…!なんで1年なのよ!!!」
「そんなに俺と青野をくっ付けたいの?だからあんな噂流したの?」
白河の語尾は、だんだん冷たくなる。
「だって青野なんか直ぐにでもっ、どーにでも出来るしっ!」
「あんた…青野の事、見下し過ぎじゃない?」
ため息を吐き、
「それとも…青野に嫉妬してるだけ?あと春川さんにも…」
「……………」
「同級生ならともかく、下級生にまで嫉妬してる自分を認めたくないだけだろ?」
「っ……………!」
白河の言葉に前園は真っ赤になる。
「さすが白河君。よく分かってる…」
加納は白河の言葉を肯定した。
加納は前園達を見て告げた。
「潮時よ」
「っ…!」
加納の目を見て、前園はこれ以上は続けなかった。