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Hな女の子は嫌いですか?

第10章 加納





髪を引き抜かれるんじゃないかというくらいの力で、夢の髪を引っ張り続ける。

「…っ……!」

いきなりの事態に、頭が真っ白になり夢は耐えるしかなかった。

「…ちょっ……ちょっと…ヤバくない…?」

前園には聞こえないくらいの消え入りそうな声で後ずさる。

まだ夢を離す気配のない前園を止めたのは、加納だった。

「その辺にしたらどう?」

加納の声に正気を取り戻したのか、前園はやっと夢を離した。

「…っ………」

その場にずり落ち震える夢に、加納はゆっくり近づいた。

「…ねぇ知ってる?貴女上級生に妬まれてるのよ?」

(…どうして?)

「貴女が白河君と仲が良いから…よ」

「………………」

ゆっくり顔を上げると加納と目が合った。

「………」

お互い無言で、互いを見ていた。

「…ねぇ…そいつどうすんの……?」

前園が、まだやりたりないという含みを込めて加納に聞く。

「…ふふっ…貴女の事もっといじめたいみたいよ……?」
夢に告げながら、顎を持ち上げた。
「………………」
夢はただそんな加納を見つめる。
加納の目に僅かな哀しみを感じた気がして。その目に釘つけになった様に。



(…どうしてこの子なの?)



(…どうして…)



(青野さんじゃないの…?)



(白河君に一番近い子が…)



(青野さんだったら…良かったのに…)




(そうだったらどんなに良かったの…?)





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