第9章 衝突2
そして次の日。
机の中にカッターの刃が入っていた。
幸い教科書を入れる時に気づいたので、ケガはしなかった。
その次の日。
机の上にキズと落書きがされてた。
そのまた次の日。
靴の中に大量の画ビョウが入れられてた。
また次の日と地味な嫌がらせは続いた。周囲のヒソヒソ話す声も嫌な音の様に感じて辛かった。
そんな感じで、じわじわと典型的ないじめが続いた。
「はぁ…」
(なんだかなぁ…)
夢はため息をこぼした。
(相手が飽きるまでこのまま耐えるしかないのかな…)
ん〜と伸びをして、空を見上げた時、影が差してその人物と目があった。
「またなんかされてる?」
予想外の人物に思わず固まる。
「白河先輩…」
(もしかして心配してくれてたのかな…)
本当の事を言うべきか一瞬言葉に詰まる。
「変に隠すのはお互いのためにならないよ」
「はい…」
見透かした様に先に指摘され、夢は正直に言う事にした。
「地味な嫌がらせが続いてる状況です…」
夢の言葉を聞いて白河はうんざりした表情をし、夢の隣に座った。
「本当に低レベルな奴らだな」
「はは…」
渇いた笑いで返すしかなかった。
「というか何かあったら連絡する様に言わなかったっけ?」
「う…」
(そういえば言われてたかも…)
「俺じゃなくても青野にでも言えばいいし…一人で対処しない方がいいと思うけど」
「…そうですね。ありがとうございます…」
(優しいなぁ…)
良い先輩に恵まれたなとしみじみ思ってるとチャイムが鳴った。
「昼休み終わり…か。またなんかされたらちゃんとメールしなよ」
頭にぽんと手を置き白河は立ち去る。
「はい!いろいろありがとうございます」
白河の後ろ姿に急いで告げる。振り向かず手だけをひらひらと振り姿が見えなくなった。
白河を見送った夢も教室へ戻って行った。