第8章 衝突
休み時間。
美月は保健室に来ていた。
「そうですか…」
紅林から昨日、夢が校舎裏に呼び出された事を聞いた。
「…やっぱり、白河君に好意のある子…ですよね」
中学の時も、一部の女子が騒いでた思い出がある。
「でも、なんで白河の相手が青野なんだろうな…」
紅林の言葉に不機嫌さが混じる。
「そうなんですよね…私が一番白河君と仲良く見えたんでしょうか…」
白河はあまり女子とは話さない。というのも自分から話しかけづらく思ってる女子がほとんどで、白河自身あまり女子と進んで話そうとしない。(恋愛の話になるので)
だからか余計に白河と美月は目立ってしまったのかもしれない。(美月自身気付いてないが、男子に人気があった)しかし、中学の時の二人の会話内容は、主に勉強や学校の話で、色気ないものだったのだ。それは、今も同じだ。
「もしかしたら、青野を白河の女よけにしたのかもな?」
(この線が一番濃いな)
「………………」
(確かに…)
それもあり得る…。
だとしたら、なんて理由で人を苦しめてくれたんだろうか。
「はぁ…」
美月は溜め息をついた。
「なんだか…馬鹿らしく思えてきたわ…」
どんな理由にせよ、結局は恋愛関係のもつれだと分かり、美月は呆れた様に首を振った。
美月の言葉に紅林は、同意する様に笑った。
「確かにな…でも、そう思えるくらい余裕が持てたみたいで良かった」
そう言って、美月の頭を優しく撫でた。
美月は微笑んで、それを受ける。
「もしそうなら…先生のおかげですよ」
なんだか素直な言葉が出た。美月の笑顔を見て、紅林の頬も緩む。
「そうか。少しでも力になれたなら良かった!」