第8章 衝突
「美月先輩!」
慌てた様子で、こちらに駆け寄る美月を見て、夢は安堵した。
「なんだか騒がしいから近くの人に聞いたら、夢ちゃんの靴箱に悪戯があったって…白河君、よく気付いたわね」
「たまたま学校着いた時に、騒ぎがあったからね」
「そう…白河君が居合わせてくれて良かったわ…」
美月は夢に向き直り
「ごめんなさい夢ちゃん…。きっと今、流れてる噂が原因だと思うの…貴女まで巻き込んでしまうなんて…」
「青野が謝るのは筋違いだよ。お前だって被害者なんだから。謝るべきなのは、噂流した奴だろ」
「そうですよ!美月先輩は悪くないです!」
白河と夢の言葉に、美月は苦笑する。
「なんだか逆に、慰められちゃったわね…。ますます、こんな事する人には負けていられないわね」
「…あんま無理する事ないと思うけど」
(…美月先輩…私も…負けちゃダメだよね…)
怖くても、立ち向かわなきゃ…。
「おい、取り敢えず教室に戻れ。春川は、後で詳しく話そう」
担任の先生は、そう言って職員室に戻った。
「…取り敢えず戻るわ。夢ちゃん何かあったら連絡してね」
「はい!」
美月の言動に心強くなる。
コツンと軽く頭を小突かれた。
「春川さんもあんま気負わわないで」
(白河先輩…)
「はい。ありがとうございます」
夢は自然に微笑んで言った。