第8章 衝突
「っ…………!」
朝。
下駄箱が、悲惨な状況になっていた。
何やら生臭い物が詰まれ、上履きが見当たらない…。
これに気付いた周りの人達は、遠巻きに此方を見ているだけで、それぞれ教室へ行ってしまう。
「うわっ!何この臭い〜…」
「あの子のじゃん?うわ〜、…かわいそ…」
「おい、誰だよ。あれやったの」
「誰か片付け手伝ってあげれば〜?」
「お前やれよ」
「やだよ。汚いし」
「ひで〜」
ヒソヒソと声が聞こえる。
(っ………………)
身体中、気持ち悪い汗がでる。
泣きそうになる。
頭は真っ白で
足が動かない。
「1年のくせに、調子にノッてっからだよ」
嘲笑う様な声に、目の前が真っ暗になる。
手が震える。
ガタン!
音を立て、下駄箱に勢いよくついた手に、はっとなる。
「なにこれ…?」
横から聞こえたのは、明らかに不機嫌な声だった。
(あ…)
「白河…先輩…」
なんとか、それだけ声に出した。
其にしても、彼の、こんなにも怒りに満ちた声を聞いたのは初めてだ。