第1章 始まり
「起きろ−!朝だぞ−!」
という声が聞こえ
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
夢は飛び起きた。
夢だった。
夢だけに。
なんか虚しくなった。
「朝だぞ−!起きろ−!あさ…」
カチッと、ペンギンの形をした目覚まし時計を止める。
(私…なんて夢、見てるんだろう…)
仮にも、尊敬している先輩で。
「ごめんなさい…美月先輩…」
「いけない子ね」と言って、苦笑する美月が浮かんだ。
(ほんと〜に、ごめんなさい先輩…)
心の先輩に謝る。
「夢−!起きたんなら早く支度しなさい−!」
階段下から母が言った。
「は−−い。」
ベッドから降りて支度を始める。
「というかどこから夢…」
昨日の事を思い出す。
図書室から出て、その後美月と途中まで一緒に帰った。
その間、美月に思う存分遊ばれた。
「先輩…時々、意地悪なんだよね…」
でも、美月は相手が不快な思いをする様な事はしないから、遊ばれてもどこか楽しいと思ってしまった。
思い出すと自然に笑顔になった。