第5章 百合心中
「奇遇ね。休日に会うなんて。」
柔らかな笑顔の美月を見て、不覚にもドキリとしてしまった。
「み…美月先輩…」
どぎまぎしてしまった。
「…ねぇ、これから時間ある?」
「ふへ?」
突然、尋ねられて変な声が出てしまった。
「…私に、付き合ってくれる?」
「!?」
顔を近づけて言われた。
心臓が、ドキドキうるさくなる。
「…はい…」
気付いたらそう言っていた。
それを聞いて美月は、ニヤリと笑った。
そして、夢の行こうとしていたカフェで一休みした。
軽食とケーキを頼んで、食べた。
会話はなかった。
夢は何か言おうとするが言葉が浮かばない。
−…気にしているのは、自分だけかもしれない…
そう思うと何も言えなかった。
美月は紅茶を飲み一呼吸した後に、夢を見つめた。
「先日、私があなたに迫った事怒ってる?」
突然の言葉に、ただ美月を見つめ返す事しか出来なかった。
「いえっ!驚きましたけど…でも…」
そこまで言って俯いた。その先を言うのは、恥ずかしい。
「…でも?」
しかし美月は続きを促す。
(うう…言うしかないかな…。美月先輩とずっと気まずいのは嫌だし…)
意を決して顔を上げる。
−私の、本当の気持ちを…言おう…。