第1章 始まり
「いけない子ね。」
「!!?」
思わず身体がびくつく。
後ろから抱き締める様に、静かに聞こえた声は、夢が尊敬している先輩だった。
耳もとで囁く様に言われたため、息を感じ、夢の身体はさらに熱を帯びてしまった。
女の子同士なのに。
「み…美月先輩…」
なんとか小声で返す。
心臓はすごい音だ。
「いい?ゆっくり歩くわよ。あの二人がやり終わる前に逃げるの。」
夢は勢いよく頷いた。
(まさか美月先輩に、遭遇するなんて…おかげでここから去る事が出来るけど…)
最後まで見てたかったなんて、一瞬でも思ってしまった自分が恥ずかしかった。
美月先輩に、手を引いてもらいながら夢は図書室から出た。
(長い間あそこにいた気がする…)
学校から外に出て息をついた。