第1章 始まり
(ああ…早くここから出て行かなきゃ…)
自分に気づかれたら、お互いに気まずい思いをするのは、簡単に想像できる。動かないといけないのに、動けない。
目の前の光景に、身体が熱くなる。
(ああ…どうしよう。スイッチが入っちゃう。)
妄想のスイッチが、カチッと入ってしまう。
(ああ…私もいつか…誰かと…)
息を殺して、火照っていく身体を抱き締める。
足をもじもじさせる。
もっと見たいなんて思ってしまう。
最低な思考なんだと頭ではわかっても、身体は動かない。
この状況に興奮してる。
もっともっと…
「ああ…ん」
女子生徒の甘い声と、男子の荒くなる息。
聞き逃さない様にしてしまう。
(二人共、気持ちよさそう…やっぱりHて気持ちいいんだ…)
「はぁ…」
静かに息を吐いてしまう。目と耳は、絡み合う男女に夢中になっている。
(ああ…そのまま…)
女子生徒の後ろから激しく腰を打ち付ける男子。
もう少しで、二人は果てそうだ。
その時、後ろから口を塞がれた。