第3章 秘密
「白河君…今日は、来ないと思ってたのに…」
「決めつけはよくないよ。ここは、鍵もかけられないし。」
ここの図書室は、鍵でしか施錠出来ず、鍵は職員室で管理されていた。残った先生が、見回りで最後に鍵を閉める習慣だった。
「…そうね。甘かったわ…。邪魔されちゃうなんて…」
心底残念そうな美月を見て、今度は白河がため息をついた。
「青野…お前、もう帰れ。」
「……………。」
美月は軽く白河を睨み、
これ以上は無意味だと悟った。
「わかったわ…」
そして、夢に向き直り…
チュッと音を立て頬にキスをした。そして夢にだけ聞こえる様に…
「また…機会があったら続きしましょ…」
そう耳打ちをしてすぐに、ぐいっと白河が美月の腕を掴んだ。
「痛いわ。もう帰るから。」
白河は無言で、手を離した。
「またね。」
夢にだけ挨拶をして、美月は去った。