第2章 図書室での出会い
そんな美月の様子を見ている紅林は、やはり心配しているようだ。
「私も、そろそろ帰りますね。」
美月が、立ち去ろうとすると
「青野。」
すぐに、紅林に引き止められた。
美月が、ふりかえり紅林と目が合うと
「体調もそうだけど…何か悩みがあるなら相談にのるから。」
「………………。」
美月は、紅林の言葉を静かに聞いていた。
「話したくなったら、いつでも来なさい。」
「………………。」
しばらく二人の間に沈黙が訪れる。
「さすが保健の先生ですね。お優しい言葉ありがとうございます。」
美月がにこやかに言うと、ぴくりと紅林の片眉が動いた。
「…なんだろうな…。青野が言うと…いや、青野の言い方だと、嫌みに聞こえるな。」
「所詮、子供の言動ですから気にしないで下さいな。」
今度は、紅林がため息をついた。