第2章 図書室での出会い
「お前なぁ…。」
(自分で、子供とか言っている辺りが、ちゃっかりしてると思うが…)
そっと美月を見やる。
美月は、微笑みを浮かべ紅林を見ているが…自分に心を開いていない事など、すぐにわかった。
保健室に通っていて、何度も顔を合わせているのにこの距離だ。
なんだか寂しさを感じた。
教師として抱くべき感情ではないものだと分かっているから、気づかない振りをする。
「それじゃ、失礼します。」
美月は、再び歩き出した。
「…待ってるからな。」
静かに言われた言葉は、美月の耳に届いたが、彼女は…今度は足を止めなかった。
美月の後ろ姿を、見えなくなるまで見送った。
「はぁ〜〜〜〜〜〜っ。」
紅林は、長い息をはいた。
「難しいな…。」
(俺もまだまだだなぁ…)
年下の女子生徒に、いいように足らわれた。
これだから他の生徒に比べて、彼女はやりづらい。
紅林にとって彼女は特別だった。
初めて会った時から…ずっと。