第11章 カミュ×妻子
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二人が日本に来て数日、
大きな病院で入院することになった。
広い個室を選んで
俺やシヲンが普段寝泊まりすることも
考慮してもらった。
次のLIVEで、このアイドルという職業に
幕を閉じることを決意していた。
妻が居ることを黙秘していたことを詫び、
引退を宣言する。
グループのメンバーや後輩たちにも
その話をしなくてはならない。
俺は○○を見舞った後、
事務所の寮にある
普段打ち合わせに使っている
会議室に皆を集めた。
「どうしたの~?
ミューちゃんが
人を集めろなんて珍しいじゃん!!」
寿が皆を代表してこう聞く。
「皆に黙っていたことがある。」
真剣に話し出す俺に
少しピリッとした空気がはしる。
「なんだ。」
黒崎が息をのむ。
「俺には妻子がいる。」
「・・・は?」
全員が同じ反応。
「カミュ、熱でもあるのデスカ。」
「む、何故だ。」
「信じられないな…」
愛島や美風以外にも
皆、俺の話を信用しない。
「フン…ならば、
これを見せてやろう。」
俺はバッと全員に
携帯の画面を見せつけた。
この前送られてきた
写真を見せてやったのだ。
「・・・えぇぇぇえ!!!!????」
全員が驚いて目を見開く。
嶺「ミューちゃんに、こんな綺麗な奥さんが!?!?」
蘭「ありえねぇぇ!」
ト「20歳で妻子持ち…驚愕ですね。」
那「うわぁ~、可愛いですね。」
音「ほ、本当なの?」
藍「ありえない…」
口々に勝手なことを言う奴等。
全く失礼な。
「で、それがどうしたの?
自慢しにきたわけじゃないよね?」
と寿が話を戻してくれた。