第16章 真斗×花魁
身内の借金の肩代わりをするため
女たちが売られる場所があった。
それが、吉原遊郭。
そのなかでも、
一番大きな店のトップに居座るのは、
高尾太夫(本名:不明)
であった。
男はその美しき女を
てにいれるべく、
かなりの大金を貢ぎ、
そして、滅んでいった。
未だに
彼女を抱いたという男に
出会ったことがないのは
彼女が未だ純潔であるということなのか、
それとも、
彼女が抱かれる頃には
男が破産しかけているのか……
俺は御曹司の身でありながら、
家を継ぐまでの修行として
ある城で侍として番人をしていた。
その城の主というのが
酒と女グセの悪い男で
城の者もかなり
迷惑をしていた。
しかし、吉原へ行くとなると
皆、手のひら返しで喜ぶ。
そして、今日俺は
初めてその地へと足を踏み入れるのだ。
「ようこそ、おいでおくんなまし…
もう、座敷は用意してありんす。
こちらへ…」
(ここから、廓詞略)
少し年季を感じる
遊女に案内されたのは
大きな広間だ。
この辺りでは
かなりの大金持ちである主は
その案内に耳打ちをして
宴会を始める。
沢山の遊女達が
現れて
一人か二人に着いていく。
最後に主の横に座った女から
俺は目が離せなかった。
「なぁ~、まだ抱かせてくれないの~?」
酔っているとはいえ、
こんな甘えた主は初めてだった。
皆は見慣れているのか
それぞれ、隣の女と楽しんでいる。
「……あの、お名前
教えてくれませんか?」
俺の隣に座った女が
にこりと微笑む。
「……っ、あぁ。
聖川だ。
聖川 真斗。」
「聖川さん。
……気になりますか?
太夫のこと……」