第11章 カミュ×妻子
急にこんなことを
言い出す。
(シヲン……)
まだ4歳の息子を置いて遠くに出稼ぎに行く父と
近くにいてもなかなか遊ぶことが出来ない母。
寂しくないわけがない。
泣きじゃくる我が子に
「お前はパパとママと
3人で暮らしたいか?」
と問いかける。
シヲンがなんと答えるかで、
俺のなかの答えも出るような気がした。
涙と鼻水を拭きながら
シヲンの回答を待つ
「うん…グスッ…」
と、頷きながら
素直に答えるシヲン
(俺は、……)
ダッともと来た廊下を走って
バァンと
○○の部屋へ行く。
すると目を丸くして
驚く○○
『ど、どうしたの!?!?
シヲン?泣いてるの?』
すぐに俺の腕の中で涙ぐむ
シヲンに視線を向ける。
だが、シヲンは
「ううん。…泣いてない…」
と強がりを言う。
子供ながらに、
心配かけないようにしてるんだな。
○○が座るベッドに近づいていき、
「○○、シヲン、
俺と一緒に、日本に来てくれないか?」
とベッドにシヲンを座らせて
跪き、二人の手を握る。
○○がギュッとその手を握り返してきて
『……それでいいのね?』
と俺に問う。
「あぁ。」
と答えると、
『もちろん。
ついていくわ。』
と、強い眼差しで
返してくれた。
「シヲンはどうだ?」
「パパとママと一緒?」
「あぁ、一緒だ。」
今度は作り笑いなんかじゃない。
正直な笑顔をシヲンに向けた。
「うんっ!!」
二人は同時に
俺に抱きついてきた。
本当に、いとおしい。