第11章 カミュ×妻子
数日間休みがとれたので
いつものように
我が屋敷へ帰る。
彼女の部屋に入ると
『お帰りなさい、アナタ。』
ベッドボードに背もたれながら
こちらに向かってにこりと笑う愛しい妻
俺も
「あぁ。ただいま。」
と、笑顔をつくってみせる。
おそらく、
俺の作り笑いも
悩んでることも分かったのだろう。
隣に座る俺の手を
ギュッと握って
『どうしたのかしら…
私の愛しい旦那様は…
また悩んでいるのね…』
と優しい声で問いかけながら
頭を撫でてくる。
「……っ」
俺が何も言えないでいると
『ふふっ、
私、貴方が出した答えを信じるわ。
絶対に後悔しない。
だから、貴方も後悔しない道を選んでね。
私とシヲンは貴方にずっと
ついていくから。』
とまるで子供をあやすかのように
優しい手つきで
俺の前髪を掻き分けながら
頬を撫でてくる。
「っ…//
すまないな。
俺はお前に、お前たちに甘えてばかりだ…。」
その手をギュッと握り
俯きかげんにこう言うと
『いいのよ、甘えて。
私はアナタと一緒だったら
何処へだって進んで行けるから。』
と強い眼差しで
言われる。
「…フッ……
何処へだってって…
いつからそんなに強くなったんだ?」
俺は額同士をくっつけて
彼女の目を見つめ返す。
すると
『ふふっ。
もう、母親ですから。
母は強し、です。』
結婚したての時のような
くしゃっとした顔で笑ってくれた。
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部屋を出ると
シヲンが待っていたとばかりに
飛び付いてくる。
俺と○○と同じ髪色
同じ肌の色
くりっとした瞳は彼女似で、
瞳の色は俺と同じ水色
素直なところは○○に似てる。
可愛い息子だ。
「パパっ!!♪」
ギューッと俺の足を抱き締めて
離さないシヲン。
「久しぶりだなシヲン。
また大きくなったな。」
頭を撫でるとパッと手を広げて
抱っこをせがむ。
久々に会うときくらいは
目一杯甘やかしてやる。
「ふっ…
シヲン、何処かへ行こうか。
何処へでも連れてってやるぞ。」
抱っこしながら
廊下を歩いていると
急にシヲンの目に涙が溜まる。
「パパぁ…っ、
ぼく、グスッ…何処にもいかなくていい。
いいからぁ…っ、
パパも、っ…何処にもいかないで…っ!!」