第10章 藍×白衣眼鏡
**
遂に2週間がたった。
普段、研究室に振り分ける予算を
決めるための定例会議が
今日は違った。
…ドキドキする。
僕たち平の研究員は
会議には出られない。
所長と副所長
費用を出してくれる
スポンサーの偉い人
友千香さん○○さんだけが
出られる。
僕は
○○さんの
成功を願うしかなかった。
**
○○side
争うことを極力避けるよう
過ごしてきた私が、
勝負に出る日が来た。
もちろん、
藍ちゃんがいなくなるのは
嫌だけど、
争わない方法を
探すべきだった。
でも、やると決まったからには
やらないとね。
私がずっとしていた研究は
物や、植物等
無表情な物に
表情を与える薬をつくるというもの。
同じものでも
使う人によって
物の壊れる時期は違う。
愛された物は長くもってくれるし
雑に扱われればすぐにダメになってしまう。
そんな人間には分からない
物の感情を
表に出させるという研究だ。
「それでは、これから
定例会議を始めます。」
その研究の結果を
私は今から話さなければならない、
**
藍 side
あれから一時間…
研究室内も
諦めムードが漂っていた。
僕の中でも
彼女の研究が成功する確率は
かなり低い。
半分諦めかけたとき、
ガチャ…
会議室のドアがあいた。
『失礼します…』
「失礼します。」
○○さんと友千香さんが
同時に出てきた。
友千香さんにペコッとお辞儀をしてから
うつ向き加減に
パタパタと走ってくる○○さん。
僕の前に来て
ギュッと手を握って
涙目でこちらを見てくる。
(まさか…)