第10章 藍×白衣眼鏡
友千香さんの次に○○さんの
研究室に行くと
顕微鏡を除きながら
『…うーん、、
この反応まではいいんだけどなァ…』
ってブツブツ言ってる上司の姿。
真剣ではある。
(まぁ、いつもこんなものか…)
そして、
僕に気づいて笑顔で
『あ、藍ちゃん!!♪
なになに?内緒で手伝ってくれるの?』
だって。
そんなキラキラした目で見られても…。
僕は
「そんなことできませんよ。」
とピシャリといい放つ。
『うぅ、…デスヨネ…』
(はぁ…なんで、僕
この人のこと好きなんだろ…)
もう、自分が分かんないや。
「とにかく、
この中の要らないもの、
捨てておいてください。」
さっさと段ボールを置いて
戻ろうとする僕に
『な、なんか怒ってない??;;』
って半泣きの彼女。
「怒ってません。」
僕はキッパリ言い放って
研究室を後にした。
**
一週間たって
なんだか全然○○さんに
会えてない気分になる。
隣の研究室にいるのに、
こんなに会えないものなんだ…
じゃあ、友千香さんの研究室に行けばもっと…
いや、今は余計なことは考えないでおこう。
**
夜になって
研究所の灯りはほとんど消えていた。
「もう、こんな時間か……」
僕は帰る支度をしに
更衣室へ向かった。
すると、
『あと、もう少し、
何がたりないのかな…』
『私の計算ではもう
反応が出てもいいころだけど…』
『1度この前のアレを混ぜてみようか…』
一人で広い研究室で
見たことない真剣な顔で
フラスコとにらめっこする人がいた。
「………///」
(まさか、僕のため…?//)
一瞬浮かれそうになったけど、
(ま、まぁ、これくらいはして
当然だよね。うん。)
と、緩みそうな表情筋を
キュッと引き締めて
自分を納得させ、
その場を後にした。