第7章 セシル×アイドル
翔さんがスタンバイしてから
那月さんが戻ってくる。
「うわぁ、本当に
ずぶ濡れですねー」
と、ハンガーに掛かった
私の服を不思議そうに見つめる那月さん。
そして
「じゃあ、僕だけすることないのも
アレなんで、
可愛いものでも
集めてきますねーっ」
と言って
嵐のように
去っていってしまった。
それから、
衣装さんとの交渉が成立したようで
音也さんから衣装を沢山持っていくから
メイク室で待ち合わせようと連絡があった。
春歌さんは少しstaffさんと打ち合わせがあるから
セシルくんに連れていってもらうことになった。
本当に色々と申し訳ない……;;
**
セシルくんもいっちゃったし…
はぁ、なにやってんのかな…私。
メイク室に一人、
眼鏡をかけた
地味な女を見つめながら
ため息をついていると
ガチャ…
メイク室のドアが開く
そこに、衣装を沢山引き連れた
音也さんと
レンさん、トキヤさん、春歌さんがいた。
「さぁ、レディ?
着替えようか…」
音也さんだけが
追い出され、
トキヤさんはメイクの準備をする。
あれ、なんか意外と本格的?
ど、どうしたら…
あわあわと挙動不審になっていると
「こんなの、どうかな…?」
『へっ?』
「うわぁっ、可愛いです!!
似合ってますよっ!!!」
って春歌さんが後ろで言ってくれる…
けど、これって、
なんだか、
アイドルみたい…じゃないですか?
「うんうん、
これもいいね…」
私に一着ずつ合わせながら、
二人が評価して、
一番評判の良かった衣装に着替える。
目の前には
フリフリのロリータドレス。
セシルくんカラーの緑色のスカートの下に
パニエを履いてフワフワにさせるみたい。
胸に白くて大きなリボンが付いていて
上半身はほとんど隠れちゃいそう。
胸の下からスカートに切り替わる
ハイウエストなデザインで、
スカート丈も膝上15cm程だ。
『こ、こんなの、
絶対似合いませんよぉ///』
抵抗するけど、
そんなのお構いなしです。
カーテンの向こう側にいかされ
春歌さんがせっせと
着せてくれる。