第33章 音也×ベビードール
『音也くんが私をこんなにしたんじゃない。
音也くんなしでは生きてけない体に。』
「……!?!?//」
胸ぐらを掴む手を緩めて
音也くんの腰あたりにまわす
音也くんの胸に額を当てると
ドクンドクンと心臓の音が聞こえる。
『勝手に離れないでよ。
どこか行っちゃわないでよ。
私は…あの扉から…
もう出られないんだよ…』
外に出てみても
今まで見てた景色とは違ってて
もう心からこの扉の向こう側に
行くことは出来ないんだって
今日思い知った。
それでも音也くんが居てくれるから
私はちゃんと幸せなんだって
胸を張っていられた。
なのに音也くんから見放されたら
私は…
この扉の中に1人閉じ込められてしまう。
もう出られる保証もない扉の中で
ずっと孤独に……
「……○○…」
何のことを言ってるのか分かったのか
俯いて涙を流す私をそっと抱きしめる音也くん。
「…勝手言ってごめん…
俺、自分のことばっかりだった…
○○の気持ち…聞きもしないでさ…」
音也くんの声が
触れているところから
振動として伝わって心地いい。
『んーん、…
私は音也くんがいないとダメなの。
それだけなの。
他にはどんなに傷ついたって構わない。
音也くんがそばにいてくれれば
私は私でいられる。
それだけなの。』
「………///」
自分でも何言ってんだろってくらい
恥ずかしいけど…
でも本当のこと。
「ん…○○が俺のために生きてくれるなら…
俺は君のために生きる。
君の望むものは何でもあげる。
さぁ…教えて?
君は今、何が欲しいの?」
優しくも強い言葉で私を包んでくれる。
私は…
『音也くんが欲しい…
今までで1番
私をめちゃくちゃに抱いて欲しい。』
「うん…分かったよ。…」