第33章 音也×ベビードール
知らない顔、知ってる顔
色々な顔と久々に会った。
音也くん以外の人
人ってこんなに気持ち悪かったっけ?
目が…やだ…
『うぅ…』
唸って音也くんにしがみつくと
「久々の外だから
疲れちゃうよね。」
そう言ってニッコリ笑いかけてくれた。
それだけで全てが浄化される
音也くんの素直で正直な瞳だけを見つめてきたから
他人の心配そうな顔や、不思議そうな顔が
嘘くさく見えて仕方ない。
音也くんは普段通りなのか、
多くの人が周りに集まってきて
お喋りしたり、冗談を言い合ったり
私はお邪魔かな〜…なんて、
離れようとするけど
音也くんの右手が
私の左手を握ってて
それを許してくれない。
無言で離れないでって言われてる。
分かってる
(絶対離れないよ…)
まぁ、お友達には不愉快かもだけど…。
バカップルですみません。
**
これだけ一緒にいるってのに…
「よぉ…」
四ノ宮くんは
私たちの目の前に現れた。
「○○っ、後ろに隠れてて。」
音也くんが私を後ろ手に隠す。
『う、うんっ、』
もちろん手は握ったまま。
「まぁ、そう警戒すんなよ。
って、さすがに無理か…
その…あれだ。」
四ノ宮くんはバツの悪そうな顔で
頭を掻きながら…
「昨日のは…さすがに悪かった。
中出しはするつもりなかったし…」
「『!?!?』」
頭を下げられた。
あんだけ好き勝手しておいて何を…
と、思う反面
少しを話を聞いてみたくなった。
音也くんも私も、黙ったまま。
握る手に力が込もる。
「その、…
普通にお前のこと、
好きになってただけだ…。
きっかけは、まぁ…あれだけど。
でもお前に彼氏できたって噂で聞いてさ…
告白する前に
フラれたみたいになって、
悔しくて…それで昨日みたいなこと…
ほんと、ごめん。」
四ノ宮くんは再び頭を下げ、
もう2度としない
と誓ってくれた。
私はホッとしたのだけど
音也くんは
ずっと自分を追い詰めるような表情だった。