第33章 音也×ベビードール
**
「久々に学校行こっか?」
翌朝、目の下にクマができてる音也くんは
無理やり作った笑顔でこう言った。
『ほんと!?』
音也くんはコクっと頷いて
「俺のそばから離れないって
約束できる?」
って作り笑顔。
いつもは明るく元気な音也くん。
でも、昨日のことで
大きな後悔をしている様子。
でも、私は思っていたより大丈夫。
『うん!
絶対離れない!
何かあっても絶対に音也くんを呼ぶから。』
そう言って、彼を抱きしめた。
私は音也くんとまた居られることが嬉しかった。
あの扉の向こうの景色を忘れかけていた私。
もう一度ここから出て
彼とやり直せるなら…
そう願っていたから。
「あとさ、帰りに産婦人科いこ…」
私の腕の中で
そう言った音也くんは
少し悔しそうだったけど、
『うんっ、ありがとう…』
と、私はさらにきつく抱きしめた。
すると、音也くんは
ギュッと私の腕の中に
顔を埋めた。