第31章 セシル×OL
逃げちゃダメだ!
ここで成り行きに任せちゃったら、
また、セシルくんのときみたいに
人を傷つけちゃう。
『聞いて、一ノ瀬くん!』
「っ!?!?」
少し驚いた様子で
こちらの次の言葉を待つ一ノ瀬くん。
それを確認してから
セシルくんの背後から
セシルくんの横に肩を並べ、
きゅっと手を握ってから
『一ノ瀬くん、聞いて…』
と、もう一度彼を諭すように話す。
『私…鈍感だし、バカだから…
全然貴方の気持ちに気づいてなかった…
ごめんね。
でも、一ノ瀬くんがいなかったら、
私ずーっと弱くてバカなままだった。
セシルくんと今後付き合っていくのも難しかったかも。』
「っ…わ、私にとってはそちらの方が…」
『んーん、違うよ…
誰と付き合ったって、もちろん一ノ瀬くんとだって
長くは付き合えなかったよ。
だから、ありがとう。
こんな弱虫でバカな私を
そんなに愛してくれて。
でも、一ノ瀬くんが私以外に考えられないって思うのと一緒で、
私もセシルくん以外考えられないから…
だから、ごめんなさい。』
私は深くお辞儀をして、一ノ瀬くんの言葉を待った。
怒っちゃうかな…
でも、私の気持ちはちゃんと言った。
後悔なんてない…
これから、一ノ瀬くんとの関係がどうなっても。