第31章 セシル×OL
「なるほど…
貴女は世代間ギャップや、彼の友人に対する劣等感に悩まされているわけですね…
それを大人ぶって隠そうとしたあまり、彼を傷つけてしまった。」
『う…ま、まとめるとそうなる…かな』
「なぜ、隠す必要があるのですか?」
『へ?』
「私は彼女にはそういう弱い部分を見せて欲しいと思うし、守ってあげたいと思うと思います。」
『…』
真剣な眼差しでそう言われて…ハッとする。
分かってる…でも、できそうにない。
「て、言っても…そのメンタルじゃ無理ですか…」
『う…めんぼくない…』
「わかりました。
じゃあこういうのはどうです?」
『…?』
「私と…」
一ノ瀬くんが何か言おうとしたとき、
ドンッ
「きゃはは…それで…っ、
あ、ごめんなさいっ!!」
茶髪の学生らしき女の子にぶつかってしまった。
どこかで会ったような…
『あ、っ、こちらこそ、ごめんなさいっ…』
顔を上げると…
「…○○…?」
セシルくんがいた。
『あっ、セシルく…』
「あーーっ!!
○○さん!なんでこんなところに?」
と、横から音也くんの声。
うわぁぁぁ…学生に囲まれたぁ…
『こ、こんばんは〜……;;;』
作り笑顔をするといわゆる見せ物扱いで、
「え?セシル、○○さんと知り合い?」
「あ、…まぁ…」
うわぁ、セシルくん、微妙な反応だな…
「へぇ…こんな綺麗な人とどこで知り合ったのよ〜っ」
八戸と呼ばれていた子がセシルくんの袖をぐいぐいと引っ張る
(むっ……
って、子供じゃないんだから。)
「っ…みんな、迷惑じゃない?
か、彼氏さんといるんだし、もう行こうよ…」
宇野ちゃんの言葉でわいわいとこちらに向いていた視線が
一気に一ノ瀬くんに向かう。
「うわ…彼氏もイケメン…」
「俺も○○さん狙ってたのに〜っ」
ほんとの彼氏の前でそういうのヤメテーっ>_<
あれ?でもなんで、セシルくん、何もいってこないんだろ…
って、当たり前か。
彼氏じゃないって言ったの私じゃん。
『いや、彼氏とかじゃ…』
「ほんとう、私たちの大切な時間を邪魔しないで欲しいですね。」
グイッ
私の言葉を遮って、
私の腰をつかむ一ノ瀬くん。
『なっ、!?』
「…!!!!!?」
一瞬セシルくんが固まったのが見えた。